Arecales Bromhead

フィギュアスケートとか。

三原舞依選手 2020-21 FS

めちゃめちゃお久しぶりです。まさか前回から一年以上経つとは。ブログを書くとき結構考察とかするので、しっかり準備してテーマとか構想とか練らなきゃ、とか思ってたら書くタイミング逃していました。このエントリーは自分比で少し軽めにしようかなと思っています。

 

それで今回は、今シーズン休養から復帰し素晴らしい演技を見せてくれている、三原舞依選手の新FSについて書こうと思います。天使から森の妖精にジョブチェンジしてますね。ローリー・二コル氏との初タッグ作品ということで、今まで彼女から見られなかった新しい動きとかもあるので、その新しい動きと個人的に好きなポイントなどについて語っていきます。以下参考にしているのはNHK杯の演技です。

 

それではまず、「あっ、この動き彼女から初めて見たかも!」という部分について。独創的と思った部分も含みます。以下箇条書きです。

 

・3Lz+3Tと2Aの間のベスティスクワットイーグル

・3Fと3Sの間の足上げ

・3S着氷後の、カーブ変えて左足ついてグワッと止まって、つま先立ちで頭抱える振り付け

・FSSp後に腕を力強く振る動き

・StSq中の足上げからの後ろ向きランジみたいなやつ

・ランジ的なやつのやってロッカーの後の、足上げながら腕を後ろに羽っぽくする妖精みたいな動き

・ステップの後の助走で、音に合わせてパンパンと腕の形を作っていく動き

・スパイラル後のアウトサイドイーグル

・最初と最後のポーズ

 

一部語彙力不足な文といいますか、言葉にしにくいが故にまどろっこしい表現もあるのですが、実際の演技を見て「ああ、ここの部分のことか」とわかっていただけたら幸いです。実はテーマを聞いたとき、これまでのプログラムと似通ったものになるんじゃないかと少し心配する部分も正直ありました。でも、要所要所で独創的な動きが入っていることで、新しい魅力が出せているなと思います。

 

では次に、僕が個人的に好きなポイントを挙げます。

 

まずは先に挙げた3S着氷後の動きです。あまり見ない動きだからというのもあるのですが、グッと止まってから場面展開する感じが好きです。スピンまでの振り付けも素敵だと思います。

 

二つ目は2A+3Tと3連の間の助走で行う、両手を上に挙げて指を動かす振り付けです。短い部分ですが、音楽が盛り上がっていくところなのもあり、森の植物が芽吹いていく感じがします。地味にお気に入りです。

 

そして、FSSp以降はすべて好きです。SFのチェンジエッジが音楽のフレーズの変化に合ってるのがいいです。どうしてもFSSpは消化エレメンツになりがちなので、音楽との調和はGOEの面でも大事かなと。その後グンと腕を振って、StSqに向かうのもギアチェンジって感じで好きです。StSqのお気に入りポイントは、肩を抱いてからの解放するようなツイズル、上述した新しい動きたち、そして最後のフレーズに合わせたロッカーカウンターカウンターのクラスターです。見ごたえがちゃんとあるステップだと思います。そのあとの腕の動きから加速してのスパイラルの連続はカタルシスって感じがします。現地で見てたら立ち上がりそうになりそう。最後のスピンのレイバックからビールマンの転換がポロロロンというピアノの音に合ってるのも好きです。

 

でもちょっと気になる点もあるっちゃあります。

 

一つはジャンプパートがどうしても単調な感じがしてしまうこと。トランジションやカーブの切り替えはあるんですけど、静かな曲調なのもあり、緩急や変化に乏しい印象は正直してしまいます。こんなことファンが勝手に求めるのは酷だとわかってはいるのですが。

 

もう一つはChSqの構成です。上述したように好きなのは好きなんです。三原舞依補正がかかると歓声&スタオベ間違いなしみたいな感じになるんです。でも動き自体はスパイラル2つと短いイーグルというかなりシンプルなもので、時間も10秒ちょいと相当短いです。そのせいかGOEが伸び切ってないように思えます。振り付けたローリーの意図はどういうものだったのかと少し疑問に感じます。

 

とまあ、最後はちょっと不満みたいなのも言ってしまいましたが、既にこのプログラムも結構リピートしています。寝る前に見ると幸せな気持ちで寝られる気がします。結論としては、このプログラムも好き!です。ジャンプ構成を休養前よりも上げて、復帰直後でこれほど素晴らしい演技を見せてくれる彼女には、尊敬と感謝の念でいっぱいです。日本選手権、ひいてはその先の大会でも良い演技をしてほしいなと思いますし、彼女の笑顔がまた見られるのを楽しみにしたいと思います。

 

ヤシの木

ロシアテストスケート2019感想(トゥルソワ、シェルバコワ、コストルナヤ)

お久しぶりです。先週末、ロシアのテストスケートが開催されましたね。以前は豪華メンバーが練習着で滑ってるのを定点カメラで見る、って感じだったのが、たくさんの観客の前で試合のごとく滑るようになっていて驚きました。

 

今回は世界的にも個人的にも大注目の、シニアデビュー3選手の演技の感想を書きたいと思います。まあお披露目ですし、後々印象は変わると思いますが備忘録として。

 

トゥルソワ

SP


Александра Трусова. Короткая программа. Предсезонные контрольные прокаты по фигурному катанию

 

SPは「ペールギュント」。まあ似合いますよね。特に後半「山の魔王の宮殿にて」の畳みかけは素晴らしいです。

 

前半のソルヴェイグの部分はのびやかに滑れてると思います。ブラケットから2Aのところはいつか3Aになるのでしょうか。そうなったらもはや無敵ですね。3Fもさらっとロッカーカウンタースリーから跳んでいます。表現はちょっと薄味な気もしますが、まあ後半すごいので何でもいいです。

 

そして、曲が変わったところの上目遣い、めちゃくちゃ強いです。そこから角度のおかしいクリムキンイーグルで盛り上げた後方向転換して、チョクトーから3Lz-3Lo、出にカウンターからスパイラル。控えめに言っても狂ってます。なぜこの入りと出をこのコンビネーションでやろうと思ったのか。身長と脚伸びてるのに、ジャンプが前よりさらに軽やかに見えるのが本当に恐ろしいです。

(2020-11-30 追記) 今更ですが、3Lz-3Loの出はブラケットらしいです。私はフォアイン以外のブラケットはあまり判別できないです。申し訳ありません。

 

FCSpからStSq、LSpの盛り上がりは反則ですね。ステップはどんどん上手くなってる気がします。美しさというよりは身体能力の暴力って感じはしますが。でもツイズルやループターンで曲がよく表現されてるなと思うし、音ハメもいいです。StSqはちょうど35秒くらいですが、見ごたえがあってあっという間に終わる感じがします。LSp終わった後の最後のポーズも強いです。

 

総じて「魔王!」って感じがします。魔女じゃなくて。例えプレイヤーレベル、装備レベル共にMAXでも、この魔王には勝てなさそう。

 

FS


Александра Трусова. Произвольная программа. Предсезонные контрольные прокаты по фигурному катанию

 

FSは「ゲームオブスローンズ」。見たことはないのですが、設定の感じは彼女に似合いそうと曲発表の時から思ってました。思ったより静かな感じの曲が選ばれましたが、SPが盛り上がる曲なのでその対比にもできますし、それに後述のクワドが全てを破壊するのでむしろ静かだと怖さが増します。

 

さて、そのクワドですが・・・ほんとに何やってんだ!?って感じですよね。3本という時点でおかしいのに昨シーズンより全部質上がってるし、4Tにいたっては長辺からも短辺からも跳ぶし。そのうえ安定感もあるので絶望度が増します。その後の申し訳程度の2Aは助走少ないとはいえカウンターからなので、昨シーズンよりは加点の面でましな気がします。ただフリーで3A跳ばせる気はないのかなーとは思います。

 

後半の3Lz+3Loで転倒したのは人間アピールでしょうか。といっても後半にこのコンビネーションを跳ぶこと自体ものすごーく難しいことなのですが、感覚が麻痺してしまってます。

 

正直いうとChSqとStSqは物足りないですし、プログラムとしては個人的に昨シーズンのフィフス・エレメントの方が好きです。まあここらへんはいくらでもシーズン中に変わるでしょうし、クワド3本のシニアデビューの選手(よく考えるとこの字面おかしい)に求めるのは酷な気もします。ただシニアで30秒増えて、演技に余裕というかゆとりが生まれてるのはいいと思います。

 

最後のセリフは「ドラカリス」で、意味は「焼き尽くせ」だそうです。シニアデビューで女子シングルを焦土にしてしまうのかにも注目ですね。

 

シェルバコワ

SP


Анна Щербакова. Короткая программа. Женщины. Предсезонные контрольные прокаты по фигурному катанию

 

SPは「パフューム ある人殺しの物語」。曲発表されてストーリー調べた時に、これは似合いそうーと妄想を膨らませていたのですが、その通り似合ってて嬉しかったです。彼女憂いを帯びた表情した瞬間に、生気がなくなるというか死を漂わせる雰囲気を出せるじゃないですか。それが非常にマッチしていると思います。

 

とはいえ実をいうと不満はありまして、それは「スパイラル多用しすぎじゃね?」ってことです。2A前のY字スパイラルや3F前のケリガンスパイラルは素敵だし、以前より魅せられるなーと思うのですが、3F後の足上げや、3Lz+3T前の短いビールマンスパイラルは蛇足感がちょっと・・・。何よりSPの3つしかないジャンプ全ての前にスパイラルって、繋ぎの多様性という面でいいのかという疑問が。ポジションは全て違うといえね。あと、彼女のロッカーカウンタースリー3F大好き勢としては、SPでもモホークからの入りになって少し残念です。このプログラムにはモホークからでも合っているとわかってはいるんですけどね。

 

話は変わりますが、3Lz+3Loの直前がロッカーからと大幅に変わりましたね。個人的には左足でロッカーしてそのまま跳ぶってタイミングや軸が取りにくそうに思うのですが、まあ彼女にはいいんでしょう。今季はこのコンビネーションを跳び続けるかにも注目ですね。

 

あと、フィニッシュが曲が終わって数秒経ってからなので、そこも改善できればさらによくなりそうです。なんか文句ばっかり言ってる気がしますが、2Aの着氷時やその後の動きとか大好きだし、それぞれのポーズは美しいし、スピン前より上手くなってるし、全体的には大好きです。昨シーズンのSPが彼女に惚れたきっかけで大好きなプログラムなのですが、今シーズンもいいプログラムもらいましたね。

 

FS


Анна Щербакова. Произвольная программа. Предсезонные контрольные прокаты по фигурному катанию

 

賛否両論のプログラムその1。「グノシエンヌ&火の鳥」。作曲者も違うし、2曲間につながりが見つけられない気がしますがこれはいいのでしょうか。また、火の鳥で一番盛り上がるところが使われていなくて、燃える前にいつの間にか羽ばたいて終わる感じがするのもちょっと残念ポイントです。

 

さて、曲のことを置いとくと、最大の見せ場はやっぱり衣装チェンジの所でしょうか。要素じゃないんかいというツッコミも置いといて。青から赤にはっきりと色が変わるのがいいですね。個人的に衣装チェンジというと、EXではポゴリラヤの「Rise like a Phoenix」、競技ではルカヴァリエの「グリース」が印象的なやつですね。特にポゴリラヤのやつは、髪までカツラで黒かったのが、一気にゴールドでキラキラになってましたから、衝撃的だったのを覚えています。このシェルバコワのプログラムでも一気に変化するので、ハイライトとして機能してると思います。

 

参考

ポゴリラヤのやつ


Anna Pogorilaya - Skate Canada 2014 Gala

ルカヴァリエのやつ


2017 Europeans - Laurine Lecavelier FS NBCSN HD

 

次に表現の面でいいますと、全体を通して表情が素晴らしいです。冒頭の意地悪で魅惑的な感じ、衣装チェンジの直後の強気な感じ、最後のドヤ顔、どれもいいと思います。また、前半はピアノの音と雰囲気を大事にできていると思います。ただその後・・・衣装が赤になった後のジャン!の連続、何一つ音と動きがあってない気が。せっかくトランジションもりもりからのジャンプパートなのに、ターン前や動きの溜めの空白の所に音が来てて、ちぐはぐな感じがします。ここはシーズン通して調整してもらって、気持ちいいくらいの音ハメを見せてほしいです。

 

また、技術的なところでいうと、最後の3Lz前のトランジションが寂しい気がします。ビールマンスパイラルがなくなったからですかね?2本目の2A前がロッカーカウンターになってて、さらに難しくなっているのにサラッとこなしていたところは良かったと思います。あとは4Lzさえ決まれば、というところですね。4Lz音には合っていたので、成功すれば高いGOEが得られそうです。

 

SP、FSともに全体的に動きにゆとりができている気がしますが、これを「セカセカ感が減った」と捉えるか「物足りない」と捉えるかは個人の好みのように感じます。成長は感じるし、あとはプログラムをどうねじ伏せるかにかかってると思います。

 

コストルナヤ

SP


Алена Косторная. Короткая программа. Женщины. Предсезонные контрольные прокаты по фигурному катанию

 

持ち越しの、地上に舞い降りた天使プロです。絶対「前の構成の方がよかった!」と言うだろうと思ってましたが、案外こっちの構成も好きです。基礎点減ってるし、ジャンプのタイミングも昨シーズンとずれてるけど、FCSp後の冗長さが減っているところはいいと思います。後半曲に追われて最後ケリガンスパイラルがなくなってますが、正直これあってもなくてもいい気がするんですよね。このあるなしは試合によっても違ってきそうですし。

 

2A前後は本当に言うことないです。最の高。3Lzは本当にエッジ矯正頑張りましたね。これなら大丈夫そう。その分繋ぎは減ってますが、エッジの方が極論大事ですし。後半、特にステップが曲に追われる感じになってしまうのは昨シーズンからの課題なので、上手くやっていってほしいと思います。

 

怪我もあったし、構成も変わってるし、かなりひどくなるのも覚悟していましたが、今のところ個人的には好きな感じのままです。現時点でもかなりの人気を誇る選手ですが、シニアデビュー、特にNHK杯でファンがさらに急増しそうですね。

 

FS


Алена Косторная. Произвольная программа. Предсезонные контрольные прокаты по фигурному катанию

 

賛否両論のプログラムその2。「トワイライト」。主に急展開の編曲が・・・ね。ただ個人的には結構好きです。特に、「Supermassive Black Hole」のロックな所は、表情作って楽しそうに滑っているので、こっちも楽しくなります。彼女の「アディオス・ノニーノ」に惚れて、翌シーズンのロミジュリはそこまでピンとこなかった人間なので、僕は優雅な曲より激しさを感じる曲で滑ってる彼女の方が好きなんだと思います。

 

EXバージョンから足された前半のピアノ曲のところは、まあコストルナヤなら滑りこなすよね、って感じの曲調で普通に似合ってると思います。3Lz+2Tは音に合っていて、タノもふんわりしているので2Tの蛇足感があまりないです。3Lo前の繋ぎは彼女ならもっとできると思うので、何か付け加えてほしいところです。

 

2曲目のStSqはまだ様子見な感じですが、3F+3Tの音ハメと、それに伴うジャンプの大砲っぷりは素晴らしかったです。その次のまさかの新投入3F+Eu+3Sにはビビりました。これもサードジャンプが高くて質がいいという。入りがどちらもチョクトーカウンタースリーで同じなので、2つ続くと少しくどいですが、質でねじ伏せてます。

 

そして曲が変わってノリノリで踊った後、ラストにエッジ矯正した3Lz。盛り上がる部分ですが欲をいうと、ここは昨シーズンまでのもりもりトランジションから跳んでほしかったです。ベスティスクワットイーグルはかっこいいんですけど、繋ぎたっぷりの方が盛り上がると思うし、前半の3Lz+2Tとも対比させやすいと思います。繋ぎ薄めのラスト3Lzで盛り上げられるのって、それこそアシュリーぐらいな気が。

 

スピンの後のChSqは物足りないですね。EXでもやってたI字スライド大好きだったので、それをやってくれたのは嬉しいんですけど、彼女ならもっとできそうだと思ってしまいます。現時点ではEXバージョンの方がより好きです。最後ビールマンは頑張って回転してください。フィニッシュはメイクと衣装が本番モードだったら、もっともっとカッコいいものになるでしょうし、楽しみです。

 

この映画シリーズでは、コストルナヤ演じる内気な人間の少女ベラが、次第に積極的な性格になって、何やかんやあって人間の魂を捨てヴァンパイアになるそうです。急展開の編曲ですが、そのストーリーを考えると割と納得できる気がします。見たことはないんですけど、美男美女揃いらしいしちょっと気になります。個人的には、見つめるだけで相手にあらゆる苦痛を与える能力を持つ冷酷なジェーンというキャラが、彫刻のような美しさを持つ彼女に似合いそうと思いましたが、ベラを演じるのも頑張ってほしいです。

 

以上です。まだまだシーズン序盤なので、イマイチと思ってもこれからいくらでも変わるでしょうし、変わっていってほしいです。3人とも成長期ではあるので、くれぐれも怪我には気をつけて、シニアデビューシーズンを突っ走ってほしいです。

 

ヤシの木

アレクセイ・エロホフ (Alexey Erokhov) 選手 2017-18 SP

こんにちは、ヤシの木です。

 

本格的な記事第一弾では、タイトルにもあるように、僕が好きなエロホフくんのプログラム「Lighthouse by Patrick Watson」について語りたいと思います。

 

彼がパーソナルベストを出した以下の動画をもとに語っていきますが、シーズン中細かな変更点もあったので、そこも都度言及していきたいと思います。

 


Alexey EROKHOV RUS Men Short Program - GDANSK 2017

 

冒頭~3A

 

ジャッジに背を向けてスタート。首筋がいいですね(おい)。振り向いて胸元の手を見つめた後、その中にあるものを解き放つような振付が入ります。心の奥底にある思いか何かをそっと開放しているのでしょうか。真実はわかりませんが。

 

ピアノの音に合わせてループターン、上半身の動きが優しいです。歌詞の「leave」の音に合わせてロッカー、同時にふわっと腕を広げます。クロスの後、右足でカウンター、左足でロッカーと、難しいターンをさらっとこなしながら3Aへと入っていきます。左足ロッカーの時手で髪を撫でるようなところも好きです。このさりげなく複雑なことを実施するところも、彼の魅力の一つですね。

 

3Aは歌詞の「Coming in」のタイミングで跳びます。GOEはJGPFのが+2.00と一番高く、ジャンプそのものも素晴らしいのですが、この大会も+1.57と高いGOEを獲得しています。構えが少なく、ジャンプの幅があり、着氷後の流れも申し分ないです。

 

3A~FSSp

 

3Aを着氷後はチェンジエッジでさらに流れを生み出し、そのままロッカー。このトランジションの入れ方は、まさにエテリ組って感じですね。歌詞の「dreamer」に合わせて、右腕を上に掲げて何かを掴むような振付をし、スリーターン後は縮めた腕をふわっと伸ばします。そのまま右足でチェンジエッジをした後、ただちに左足でFSSpに入ります。

 

これらの繋ぎは曲に合わせてよく工夫されてるなと感じます。グレイヘンガウス振付ながら動きは忙しくなく、ちゃんと曲想を反映しながら、かつ片足でトランジションが行われていて、PCSの面で評価される部分ではないでしょうか。

 

FSSp~StSq

 

難しい入り(フライング) - SF - 8回転 - SB でレベル4をとっています。

 

スピンの質は、シーズン終盤のJrWで他のスピンも含め劇的に改善されているので、見たい方はそちらもどうぞ。

 

とはいえ、この大会でもしっかり実施されています。SBのポジションで回転速度が上がるところがいいです。そして何といってもスピンの解き方ですよね。右足に踏みかえた後、左足のトゥをつきながらクルッと回転。この大会では出の部分でちょっと引っかかっていますが、穏やかな曲調を崩すことなく、次の動き、およびStSqに移行できています。

 

StSq~3F+3T

 

ステップはジャッジから見て右奥の角からスタート。チョクトーの後右足のカウンター、歌詞の「When」で左足のブラケットをした後チョクトー、「to find you」で体の向きを大きく変えます。その後左足でロッカーカウンターツイズルループの4連続ターンをピアノの音に合わせて行います。インサイドイナバウアーをして、右足でループターン、そこから右足でロッカーカウンターツイズルの3連続ターン。「dreaming」で顔を上げて腕を左右に広げ、そこから右足で逆回転のツイズル、最後は右足のブラケットで終了します。

 

レベルに関わりそうな部分は大体列挙したつもりですが、どうでしょうか。上半身の複雑な動きがちょっと少なめだからか、JrWを除くとほとんどレベルは3でした。しかし、静かな曲に合わせとても滑らかにステップが踏めていると思います。

 

ステップを終えるとつなぎの動きの後、ジャッジ左側を「into the world」の歌詞に合わせフォアで一気に加速します。森か霧かを抜けて一気に視界が開け、先に見える海と灯台に向かって走り出すような、そんな情景が浮かびます。

 

3F+3T

 

ジャンプ直前のトランジションはチョクトースリーで、割とオーソドックスな形。彼はモホークからも3Fを跳べるのですが、ここはピアノの音にターンをはめるようにするために、この入りにしたのでしょうか。

 

ジャンプ自体はそこまで高さはないものの、軸が細いのと3T前にしっかりためることで回転不足の心配なく降りてきます。この+3Tはコーチのドゥダコフメソッドがしみ込んでるなーと感じます。JGPF後は着氷直後に右腕を掬い上げるような動きが入ります。その後の動きも音楽のフレーズに合わせています。

 

3Lz

 

個人的ハイライト。バッククロスで加速した後、ピアノのポロンポロンという音に合わせ左足、右足と体重を乗せた後、ウォーレイ、チョクトー、その後フレーズの変化と共に直ちに3Lzに入ります。このシーズンまで必須だったソロジャンプ前のステップを、音楽表現にまでしっかり活かしている点で、素晴らしい実施だと思います。

 

3Lzを降りた後は、そのままの足でツイズルを行い次の要素に入っていきます。ここも個人的に大好きな点だったのですが、ツイズルを行うのはこの大会とその後の国内戦の2大会のみで、JGPF以降はなくなってしまいます。怪我の影響があったのかもしれませんが、流れをアピールできるうえに、次の要素のCCSpにも関わっていたであろう部分なので、なくなったのは寂しかったですね。

 

CCSp

 

難しい入り(ウインドミル) - CS - (足変え) - CU - CF  でレベル4をとっています。

 

入りのウインドミルなのですが、JrWなどはウインドミルが中途半端で難しい入りと判断されず、レベル3になってしまっていました。レベル4をとれたのは、前の要素の3Lzの後ツイズルを入れていた2大会のみだったように思うので、そういう意味でもツイズルは大事だったのかな、と思います。

 

他の多くの男子選手と同様、キャメルスピンはスピンの中でも苦手なのかな、と思います。CUやCFについてポジションそのものはいいのですが、回転速度はどうしても落ちちゃってますしね。2017-18シーズンのジュニアはFSSpが必須だったのでCCSpをやっていますが、彼は基本SPでもFPでもFCSpをやっているので、慣れない部分もあったのかな、と推測します。

 

CCoSp~終わり

 

まずスピンに入る前、JrWだと歌詞の「before」に合わせて、ふっと何かに呼ばれたかのようにジャッジの方を向く動きがあります。動きが追加された後の方が好きですが、この大会の頃は時間的にも少し厳しかったのかもしれません。

 

(キャメル) - (シット) - 同じ足でのスピン中のジャンプ - (シット) - US - (足変え) - UF - NB - (アップライト) でレベル4をとっています。

 

ピアノの盛り上がりに合わせシットポジションで加速し、ボーカルの声に合わせUSで上を向きます。足変え後のUFとNBはポジションの移行がスムーズです。

 

最後のアップライトのポジションからスピンを解く際、手を合わせた後腕を広げ、それから体にぐるっと絡ませて1回転してそのまま終わりのポーズに移行します。このスピンの解き方の工夫は曲想を反映できていますし、スムーズで素晴らしいと思います。

 

その他

 

このプログラムは、彼の持つ静かな抒情性といいますか、内に秘めた感情に光を灯すかのような表現が活かされているな、と思います。個人的には曲名が「Lighthouse」ということで、鬱々とした森あるいは霧を抜けて灯台に照らされる様子をイメージするのですが、皆さんはどう解釈するでしょうか。

 

また、全体を通して思うのは、曲想に合わせてしっかりトランジションが盛り込まれているな、ということです。実はJGPFでこのプログラムを生観戦したのですが、その時片足でのつなぎや滑走が素晴らしいという感想を抱きました。加えて、つなぎがしっかり入っている中それらを自然にこなすところは、全体的な流れを生み出すのに一役買っているな、と思います。

 

あと実はこのシーズン、SPについては大会で、転倒はおろかステップアウトすらなく、非常に安定した演技が続いていました。全ての演技で76点以上と、ジュニアの中ではかなり高い点を連発し、このシーズンの躍進を支えていました。相性の良いプログラムだったんでしょうね。

 

そしてこのプログラムは、ロシアの方が運営している、彼のファンクラブの間でも人気1位になるぐらいで、彼の代表的なプログラムといってもいいのではないかと思います。願わくば彼の「初期の」代表作、といえるようになってほしいですが。昨シーズン含め最近は怪我に苦しんでいますが、きちんと治して、また素敵な演技やプログラムをどんどん見せていってほしいです。

 

素人なのでターンなど間違っている箇所がありましたら、遠慮なくお知らせください。自分の思考をぶちまけただけの文章になってしまいましたが、最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。

 

ヤシの木

はじめに

こんにちは!ヤシの木と申します。ブログを始めてみました。

 

このブログでは主に、自分の好きなフィギュアスケートの演技について語ったり、大会の感想をTwitterより詳細に述べたりしていきたいな、と思います。

 

もしかしたらフィギュアスケートのこと以外を語ることもあるかもしれません。今後の方針は誰にもわかりません(笑)

 

多分好きなことを綴る場になると思いますが、そんなものでも良かったら読んでくださると嬉しいです。

 

これからよろしくお願いします。

 

ヤシの木