Arecales Bromhead

フィギュアスケートとか。

ロシアテストスケート2019感想(トゥルソワ、シェルバコワ、コストルナヤ)

お久しぶりです。先週末、ロシアのテストスケートが開催されましたね。以前は豪華メンバーが練習着で滑ってるのを定点カメラで見る、って感じだったのが、たくさんの観客の前で試合のごとく滑るようになっていて驚きました。

 

今回は世界的にも個人的にも大注目の、シニアデビュー3選手の演技の感想を書きたいと思います。まあお披露目ですし、後々印象は変わると思いますが備忘録として。

 

トゥルソワ

SP


Александра Трусова. Короткая программа. Предсезонные контрольные прокаты по фигурному катанию

 

SPは「ペールギュント」。まあ似合いますよね。特に後半「山の魔王の宮殿にて」の畳みかけは素晴らしいです。

 

前半のソルヴェイグの部分はのびやかに滑れてると思います。ブラケットから2Aのところはいつか3Aになるのでしょうか。そうなったらもはや無敵ですね。3Fもさらっとロッカーカウンタースリーから跳んでいます。表現はちょっと薄味な気もしますが、まあ後半すごいので何でもいいです。

 

そして、曲が変わったところの上目遣い、めちゃくちゃ強いです。そこから角度のおかしいクリムキンイーグルで盛り上げた後方向転換して、チョクトーから3Lz-3Lo、出にカウンターからスパイラル。控えめに言っても狂ってます。なぜこの入りと出をこのコンビネーションでやろうと思ったのか。身長と脚伸びてるのに、ジャンプが前よりさらに軽やかに見えるのが本当に恐ろしいです。

 

FCSpからStSq、LSpの盛り上がりは反則ですね。ステップはどんどん上手くなってる気がします。美しさというよりは身体能力の暴力って感じはしますが。でもツイズルやループターンで曲がよく表現されてるなと思うし、音ハメもいいです。StSqはちょうど35秒くらいですが、見ごたえがあってあっという間に終わる感じがします。LSp終わった後の最後のポーズも強いです。

 

総じて「魔王!」って感じがします。魔女じゃなくて。例えプレイヤーレベル、装備レベル共にMAXでも、この魔王には勝てなさそう。

 

FS


Александра Трусова. Произвольная программа. Предсезонные контрольные прокаты по фигурному катанию

 

FSは「ゲームオブスローンズ」。見たことはないのですが、設定の感じは彼女に似合いそうと曲発表の時から思ってました。思ったより静かな感じの曲が選ばれましたが、SPが盛り上がる曲なのでその対比にもできますし、それに後述のクワドが全てを破壊するのでむしろ静かだと怖さが増します。

 

さて、そのクワドですが・・・ほんとに何やってんだ!?って感じですよね。3本という時点でおかしいのに昨シーズンより全部質上がってるし、4Tにいたっては長辺からも短辺からも跳ぶし。そのうえ安定感もあるので絶望度が増します。その後の申し訳程度の2Aは助走少ないとはいえカウンターからなので、昨シーズンよりは加点の面でましな気がします。ただフリーで3A跳ばせる気はないのかなーとは思います。

 

後半の3Lz+3Loで転倒したのは人間アピールでしょうか。といっても後半にこのコンビネーションを跳ぶこと自体ものすごーく難しいことなのですが、感覚が麻痺してしまってます。

 

正直いうとChSqとStSqは物足りないですし、プログラムとしては個人的に昨シーズンのフィフス・エレメントの方が好きです。まあここらへんはいくらでもシーズン中に変わるでしょうし、クワド3本のシニアデビューの選手(よく考えるとこの字面おかしい)に求めるのは酷な気もします。ただシニアで30秒増えて、演技に余裕というかゆとりが生まれてるのはいいと思います。

 

最後のセリフは「ドラカリス」で、意味は「焼き尽くせ」だそうです。シニアデビューで女子シングルを焦土にしてしまうのかにも注目ですね。

 

シェルバコワ

SP


Анна Щербакова. Короткая программа. Женщины. Предсезонные контрольные прокаты по фигурному катанию

 

SPは「パフューム ある人殺しの物語」。曲発表されてストーリー調べた時に、これは似合いそうーと妄想を膨らませていたのですが、その通り似合ってて嬉しかったです。彼女憂いを帯びた表情した瞬間に、生気がなくなるというか死を漂わせる雰囲気を出せるじゃないですか。それが非常にマッチしていると思います。

 

とはいえ実をいうと不満はありまして、それは「スパイラル多用しすぎじゃね?」ってことです。2A前のY字スパイラルや3F前のケリガンスパイラルは素敵だし、以前より魅せられるなーと思うのですが、3F後の足上げや、3Lz+3T前の短いビールマンスパイラルは蛇足感がちょっと・・・。何よりSPの3つしかないジャンプ全ての前にスパイラルって、繋ぎの多様性という面でいいのかという疑問が。ポジションは全て違うといえね。あと、彼女のロッカーカウンタースリー3F大好き勢としては、SPでもモホークからの入りになって少し残念です。このプログラムにはモホークからでも合っているとわかってはいるんですけどね。

 

話は変わりますが、3Lz+3Loの直前がロッカーからと大幅に変わりましたね。個人的には左足でロッカーしてそのまま跳ぶってタイミングや軸が取りにくそうに思うのですが、まあ彼女にはいいんでしょう。今季はこのコンビネーションを跳び続けるかにも注目ですね。

 

あと、フィニッシュが曲が終わって数秒経ってからなので、そこも改善できればさらによくなりそうです。なんか文句ばっかり言ってる気がしますが、2Aの着氷時やその後の動きとか大好きだし、それぞれのポーズは美しいし、スピン前より上手くなってるし、全体的には大好きです。昨シーズンのSPが彼女に惚れたきっかけで大好きなプログラムなのですが、今シーズンもいいプログラムもらいましたね。

 

FS


Анна Щербакова. Произвольная программа. Предсезонные контрольные прокаты по фигурному катанию

 

賛否両論のプログラムその1。「グノシエンヌ&火の鳥」。作曲者も違うし、2曲間につながりが見つけられない気がしますがこれはいいのでしょうか。また、火の鳥で一番盛り上がるところが使われていなくて、燃える前にいつの間にか羽ばたいて終わる感じがするのもちょっと残念ポイントです。

 

さて、曲のことを置いとくと、最大の見せ場はやっぱり衣装チェンジの所でしょうか。要素じゃないんかいというツッコミも置いといて。青から赤にはっきりと色が変わるのがいいですね。個人的に衣装チェンジというと、EXではポゴリラヤの「Rise like a Phoenix」、競技ではルカヴァリエの「グリース」が印象的なやつですね。特にポゴリラヤのやつは、髪までカツラで黒かったのが、一気にゴールドでキラキラになってましたから、衝撃的だったのを覚えています。このシェルバコワのプログラムでも一気に変化するので、ハイライトとして機能してると思います。

 

参考

ポゴリラヤのやつ


Anna Pogorilaya - Skate Canada 2014 Gala

ルカヴァリエのやつ


2017 Europeans - Laurine Lecavelier FS NBCSN HD

 

次に表現の面でいいますと、全体を通して表情が素晴らしいです。冒頭の意地悪で魅惑的な感じ、衣装チェンジの直後の強気な感じ、最後のドヤ顔、どれもいいと思います。また、前半はピアノの音と雰囲気を大事にできていると思います。ただその後・・・衣装が赤になった後のジャン!の連続、何一つ音と動きがあってない気が。せっかくトランジションもりもりからのジャンプパートなのに、ターン前や動きの溜めの空白の所に音が来てて、ちぐはぐな感じがします。ここはシーズン通して調整してもらって、気持ちいいくらいの音ハメを見せてほしいです。

 

また、技術的なところでいうと、最後の3Lz前のトランジションが寂しい気がします。ビールマンスパイラルがなくなったからですかね?2本目の2A前がロッカーカウンターになってて、さらに難しくなっているのにサラッとこなしていたところは良かったと思います。あとは4Lzさえ決まれば、というところですね。4Lz音には合っていたので、成功すれば高いGOEが得られそうです。

 

SP、FSともに全体的に動きにゆとりができている気がしますが、これを「セカセカ感が減った」と捉えるか「物足りない」と捉えるかは個人の好みのように感じます。成長は感じるし、あとはプログラムをどうねじ伏せるかにかかってると思います。

 

コストルナヤ

SP


Алена Косторная. Короткая программа. Женщины. Предсезонные контрольные прокаты по фигурному катанию

 

持ち越しの、地上に舞い降りた天使プロです。絶対「前の構成の方がよかった!」と言うだろうと思ってましたが、案外こっちの構成も好きです。基礎点減ってるし、ジャンプのタイミングも昨シーズンとずれてるけど、FCSp後の冗長さが減っているところはいいと思います。後半曲に追われて最後ケリガンスパイラルがなくなってますが、正直これあってもなくてもいい気がするんですよね。このあるなしは試合によっても違ってきそうですし。

 

2A前後は本当に言うことないです。最の高。3Lzは本当にエッジ矯正頑張りましたね。これなら大丈夫そう。その分繋ぎは減ってますが、エッジの方が極論大事ですし。後半、特にステップが曲に追われる感じになってしまうのは昨シーズンからの課題なので、上手くやっていってほしいと思います。

 

怪我もあったし、構成も変わってるし、かなりひどくなるのも覚悟していましたが、今のところ個人的には好きな感じのままです。現時点でもかなりの人気を誇る選手ですが、シニアデビュー、特にNHK杯でファンがさらに急増しそうですね。

 

FS


Алена Косторная. Произвольная программа. Предсезонные контрольные прокаты по фигурному катанию

 

賛否両論のプログラムその2。「トワイライト」。主に急展開の編曲が・・・ね。ただ個人的には結構好きです。特に、「Supermassive Black Hole」のロックな所は、表情作って楽しそうに滑っているので、こっちも楽しくなります。彼女の「アディオス・ノニーノ」に惚れて、翌シーズンのロミジュリはそこまでピンとこなかった人間なので、僕は優雅な曲より激しさを感じる曲で滑ってる彼女の方が好きなんだと思います。

 

EXバージョンから足された前半のピアノ曲のところは、まあコストルナヤなら滑りこなすよね、って感じの曲調で普通に似合ってると思います。3Lz+2Tは音に合っていて、タノもふんわりしているので2Tの蛇足感があまりないです。3Lo前の繋ぎは彼女ならもっとできると思うので、何か付け加えてほしいところです。

 

2曲目のStSqはまだ様子見な感じですが、3F+3Tの音ハメと、それに伴うジャンプの大砲っぷりは素晴らしかったです。その次のまさかの新投入3F+Eu+3Sにはビビりました。これもサードジャンプが高くて質がいいという。入りがどちらもチョクトーカウンタースリーで同じなので、2つ続くと少しくどいですが、質でねじ伏せてます。

 

そして曲が変わってノリノリで踊った後、ラストにエッジ矯正した3Lz。盛り上がる部分ですが欲をいうと、ここは昨シーズンまでのもりもりトランジションから跳んでほしかったです。ベスティスクワットイーグルはかっこいいんですけど、繋ぎたっぷりの方が盛り上がると思うし、前半の3Lz+2Tとも対比させやすいと思います。繋ぎ薄めのラスト3Lzで盛り上げられるのって、それこそアシュリーぐらいな気が。

 

スピンの後のChSqは物足りないですね。EXでもやってたI字スライド大好きだったので、それをやってくれたのは嬉しいんですけど、彼女ならもっとできそうだと思ってしまいます。現時点ではEXバージョンの方がより好きです。最後ビールマンは頑張って回転してください。フィニッシュはメイクと衣装が本番モードだったら、もっともっとカッコいいものになるでしょうし、楽しみです。

 

この映画シリーズでは、コストルナヤ演じる内気な人間の少女ベラが、次第に積極的な性格になって、何やかんやあって人間の魂を捨てヴァンパイアになるそうです。急展開の編曲ですが、そのストーリーを考えると割と納得できる気がします。見たことはないんですけど、美男美女揃いらしいしちょっと気になります。個人的には、見つめるだけで相手にあらゆる苦痛を与える能力を持つ冷酷なジェーンというキャラが、彫刻のような美しさを持つ彼女に似合いそうと思いましたが、ベラを演じるのも頑張ってほしいです。

 

以上です。まだまだシーズン序盤なので、イマイチと思ってもこれからいくらでも変わるでしょうし、変わっていってほしいです。3人とも成長期ではあるので、くれぐれも怪我には気をつけて、シニアデビューシーズンを突っ走ってほしいです。

 

ヤシの木